泣き叫んだあとのニノはほどなく意識を失った。
そして、目が覚めるとくっついてきてホロホロと再び泣きはじめる。
呼びかけると、泣き顔を僕に向けて強がるように「べ、べつにっ泣いてなんか!」と誤魔化そうとしたけれど……ソレ、全然誤魔化しきれてないから。
「初めてを、僕なんかに奪われたから?」
した行為〔コト〕を謝る気はないけれど、ニノの気持ちを無視したコトに悪いことをしたという自覚はある。
彼女は、悪いことをされたという自覚なんて まったく ないだろうけれど。
「本当は――男性経験、なかったんでしょ? ニノ」
指摘すると、彼女は動揺して目をむいた。
〜 step.4 〜
「な……なん? なんでっ!」
その動揺こそが答えだと僕は首を傾げて、(やっぱりね)と妙に冷静にニノを観察した。
「なんで初めてだってわかったか、ってコト?」
口をパクパクしている彼女に、僕を軽蔑したり嫌がっているといった素振りはない。
僕だって、ニノが本気で抵抗すれば止める良心くらい持っていたし、彼女が僕を憎からず想っているのは確かだ。
それが男女の恋情というよりは、たぶん同性と似た友情だったにちがいないとは思うけれど。
「じゃあ、なんでやめなかったの? 面倒でしょ? 初めての女なんて」
彼女は少しも解かってなかった。
「やめるハズないよ。せっかくニノがその気になったのに」
しかも、僕が「初めての男」という称号付きだよ?
貰うに決まってるじゃないか、馬鹿だな。
「え?」
ホント、馬鹿だ。
君も、僕も――。
「そんな顔しないで。もう絶対逃がさないし、手離す気なんてないんだ……ごめんね」
俯いたニノの頬を包んで、キュッと唇を結んだ彼女に僕のを重ねた。ここにある衝動を我慢する理性なんて、ない。
引き返せる方法なんて、もうないんだ。
僕は、ニノを欲しいと思った。
だから。
ニノにも、僕を欲しいと思ってほしい。最初は 体 だけでも、いいからね。
それから、僕らは食事をするついでに 時々 体まで重ねた。
僕は、ニノにいろんなことを試した。今までの彼女には強要したこともないのに、ニノには衝動が我慢できない。
立ったまますること、風呂場で抱き合うこと、背面や座位、玩具や奉仕まで。
どんなことも、彼女とならきっと楽しい。
「あんっ。イチ!」
今日は、ニノが上にいる。
大きな胸が揺れて、誘うみたいに先が尖ってる。うっすらとかいた汗が、朝露みたいに先に溜まって僕を待ってる。
「い、いち」
僕の脇に腕をついてニノは発情したネコみたいだ。
くっついた腰は、まさにソレだし。
胸の瑞々しい実に吸い付きながら、突き上げれば慣れてなくて狭い彼女の中はいい感じに僕を刺激した。
「ニノ、そのまま我慢して」
「え? やっ、ムリ……やぁん!」
彼女の腰を引き太腿を掴んで固定して、深く中にねじこんでかき混ぜる。
「あっ、ああ」
奥の奥を彼女から溢れる音と一緒につつき上げると、軽く絶頂がきたらしい。
目の前が白くなるくらい僕のをしぼって、ニノは顎を高く上げた。
その姿が僕にはたまらなくて、カリッと胸の果実を歯で噛む。
「きゃんっ」
ビクッと反応したかと思うと、ガクンとやわらかな体が落ちてきた。
ニノの胸の谷間に顔を埋めて、そのやわらかな肉にむしゃぶりつきながら、僕が下から激しく揺さぶれば呻く声が聞こえる。
「あ、あぅ……い、いちぃ」
彼女の縋る腕が僕に巻きついて、ギュッと強く抱きついてきた。
耳には、色っぽい吐息がかかってピチャピチャと舐めてくる。くっついた腰をニノは小刻みに動かした。
「気持ち、いいの?」
「ぅんっ、そうっ……だけど。いわないで」
「どうして?」
「……だって。さ、みしいよ。ひとりだと……イチも、して?」
耳の裏側に唇を寄せて、甘く震える声で願うから僕の脳髄は溶けた。
「ニノ、ニノ!」と、その愛らしい腰とお尻のやわらかな肉を掴んで下から強く突き上げる。そうして、恍惚と淡く爆ぜる吐息を首筋に感じながらコンドームの薄い膜越しに、僕は無我夢中になって精を吐き出した。
>>>つづきます。
step.3 <・・・ step.4 ・・・> step.5
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