ワイト・デーの後。4


〜Sumire and Akemi〜
 エッチ度=★☆☆☆☆
 ホワイト・デーの午後。3 <・・・ 4 ・・・> ホワイト・デーの午後。5



 一瞬、何の話かと思って菫は止まった。

「は?」

 むぅっ、と口をすぼめた朱美は、束縛が解けたのを見逃さずに、がばりと身を起こす。
「2日くらい前から違うの使ってるじゃない、分かるのよ」
「ああ、……」
 確かに、朱美の指摘どおり2日前から香水は、変えている――が。
「それで、なんで朱美の機嫌が悪くなるんだ?」
「だって、変じゃないさ。香水つけるようになって、ずーっと同じモノを使ってたのにイキナリ……なんて。誰かから、貰ったんじゃないの?」
「ああ、そういう……」
 内心、焦っていた菫は息をつくと、くすりと笑った。
 原因が分かれば、何てことはない。
 むしろ、笑みがこぼれる。
 嬉しすぎて――。
「朱美サン」
 頬で揃えられた黒髪に触れ、ふっくらとした頬を撫でる。
 不機嫌そうな眼差しも、まるで甘美な飴〔あめ〕のような気がする。
「それって――ヤキモチ?」
 くすくすと声を立てて、菫は分かりきったことを訊いた。

 うかぁ! と朱美は赤くなる。そして。
「笑うなんて、ひどい!」
 睨んで、朱美は目の前のウキウキと弾むような……色素の薄い瞳に捕らえられた。

「ん……ぅん」

 文句を言うために開いた口は、彼のそれで塞がれて侵された。意識が朦朧〔もうろう〕としてくる。
 絡められる舌。
 乱れた毛糸のセーター越しに最初、上から触れていた彼の手が徐々に下に下りて、中に入る。彼女の身体を捕らえていた腕は、彼女をソファに押し付けると、太腿に――。
 芥子〔からし〕色のロングスカートは「くすぐりの刑」の時から乱れて、ほとんどめくる必要がなかった。
「ん、ふぅっ!」
 キスをして声を出せない朱美は、顔を苦しそうに歪めた。
 菫の肩のシャツに触れて、爪を立てる。
「んん、ハァッ……!」
 ようやく離れた唇に、朱美はふかい息を吐く。絡み合った舌が、明るい午後の光の下で綺麗な糸を引いた。
 息を吐いて、朱美はまじまじと菫を仰いだ。
「やっ!」
 朱美の身体を電気が走った。
 セーターの中に入った菫の手が、朱美のブラジャーを押し上げて授乳期の豊満な胸を直接愛撫する。
「やだ、菫さん」
 慌てて、朱美は菫の手を止めようとする。
「なんで? ホラ、こんなに出来上がってるのに」
 そう言って、太腿を撫でていた指を、やらしく朱美の一番敏感なところに下着の上から添える。
「や! だって! まだ、聞いてないし」
「何を?」
「香水のこと! やぁっん、入れないで!」
 ふ、と菫は下着の中に入ろうとしていた指を止めた。
 朱美がホッとしたのも束の間、菫はにこりと微笑むと悪戯っぽく上目遣いで彼女を見る。

「コレが終わったらね」
 と。
 じつに楽しそうに彼の前髪がサラリと揺れた。


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