「し、信じられない……」
ハァハァとすでに白い息のあがった朱美は、衣装室の大きな姿見の鏡に背をつけてなじった。
人気のない部屋は、暖房がついていないせいで肌寒かったが……抱き合うにはちょうどいい。
脱いだはずの和装を思わせる白いウェディング・ドレスをまとわされ、はだけた胸元から小振りな双丘を露にしているその姿は、言葉とは反対に恍惚としていた。
立った彼女の片足を肩に担ぎ、ドレスをまくりあげた菫はその熱く充血した中心に唇を寄せて「何が?」と空惚けてみせる。
邪魔者として取り払われた下着が、担がれた脚の膝に引っかかって揺れている。
ペロペロとなめられて、朱美は焦れた。
「こ、こんなトコロでするなんて、思わなかった。打ち上げの最中、なのに……っ」
ん、と菫の舌が朱美のイイところをかすめて、感覚が総毛立つ。
彼女の中から、何かが溶け出して太腿を伝う。
その筋をなぞるように、菫の舌が這って何ともいえない複雑な快感が背筋を走って朱美は身をわずかに揺らした。
「あ……ふっ……んん!」
いきなりのことに、一気に高みへとさらわれる。
イイところに吸いつかれて、耐えることはできなかった。
嬌声を手でこらえて、仰け反るとビクビクと全身を痙攣させる。
「ハァッ、ハァ……ぁんん」
潤いきった中に彼の低温の指が入って、かき混ぜてきた。
朱美がイイと感じる場所を知り尽くした指が容赦なく触れてきて、勝手に腰が動いた。
「あ、あ……ああ!」
菫の指を締めつける。
「朱美、朱美……見て」
片手は彼女の腕を束縛して、片手は彼女の中に入ったまま低くかすれた声で菫が誘った。
朱美はうっすらと目を開けて、彼の示す方向を見る。そこには、彼の指をくわえこむ自身の姿が映っていて――純白のウェディング・ドレスが彼色に染まって脳天に焼きついた。
「も、や……イく!」
「いいよ」
と、くすりと笑った菫が目に入って、朱美は悔しいと唇を噛んだ。
彼の指をきつく締めつける、エッチな内壁が嫌になる。
(菫さんの、バカ!)
「鏡に感じちゃった?」
と。昇りつめた余韻に朱美は朦朧と目を泳がせて、フィと視線をそらす。
「知らない」
恨めしげに呟いた。
彼は余裕なのに、自分ばかりが興奮していて面白くなかった。
これでは、どっちがエッチなのか分からない。と言うか、口で言うほど菫はこの行為を欲してはいないのではないか……とさえ思う。
もちろん、朱美は自分の 胸のおっきくない 貧相な身体が そそる 体型でないと分かってはいる。
(授乳期が終わって、だいぶ縮んじゃったし……)
もう、真新しい身体ではない。
目元に唇を寄せてきた彼を避けて、
「菫さんはわたしの身体じゃ興奮しないでしょ? 毎晩してて見慣れてるもの」
拗ねてみた。
これくらいの 厭味 は許されるだろうと思った。
しかし――。
キリ、と頭上でお遊び程度に束縛された両の手首が、急に入った菫の力によってきつく絞まった。
「い、いた……」
思わず、しかめた顔を上げて驚く。
「 あのさ 」
と、低く落ち着いた声が静かに朱美を捕らえていた。
紫がかった瞳が冷ややかに乱れた彼女を映す。
「ソレ、まさか 本気 で言ってないよね?」
にわかに燃える菫の眼差しは、怒りをもにじませて……いつものうすぼんやりとした雰囲気の彼からは想像もできない、険しい表情で凄んで見えた。
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