唇を寄せ合うと、すぐにキスは深くなり朱美の腕が菫の肩にかかってしっかりと絡めあう。
「 ん 」
暗い視界の中、目を合わせたままキスを繰り返して、足を絡ませ……もつれ合う身体を入れ替えた。
自然に朱美が上になる。
「これからも、わたしは――菫さんだけを知っていたいの」
猛った彼を自分から受け入れて、腰をふる。
ツン、と上向いた彼女のこぶりな胸が淫らに暗闇の中揺れた。
「ふ……あ、は! あ、あん!」
菫にキスを落として、繋がった場所の刺激に喘ぐ。
下から突き上げられると、さらに乱れて彼の下腹部で踊った。
「菫さん、すごい。当たってるの……あ。ああっ、わたしの中でなにしてるの?!」
「わかるだろ? ココ……朱美がすっごく喜ぶトコロにいるよ。俺も、イキそうだ……」
「あ、あ! や……もう」
菫が上体を起こすと、また別の場所に深く繋がって朱美が最後の高みに昇った。
浅く唇を重ねて、菫は囁いた。
「 ずっと、俺だけを覚えていて―― 」
愛してる、の言葉を口づけに重ねて、ふかく舌を絡ませると互いの絶頂を貪った。
*** ***
「いま、何時?」
と、疲労した表情で布団の中から顔を覗かせた朱美が、平然と電気をつける菫に訊いた。
パッ、と部屋が明るくなり、一瞬目が眩む。
「午前四時。あと、もう一回くらいやれそうだけど、どうする?」
がばっ、と深く布団をかぶると、朱美は中からくぐもった声でとんでもないことを提案する夫を非難した。
「サイアク! 何回やれば気がすむのよっ。もう、わたし、足腰立たないから!!」
事実、朝になってもベッドから降りられる気がしない彼女の声は、悲愴ささえ滲ませている。
「いいよ、今日は日曜だし。ゆっくりすれば」
「なによ、スッキリした顔しちゃってさ。そんなにしたかったなんて、知らなかった。菫さんのむっつりスケベ!」
くすくすと笑って、菫は朱美が隠れた布団に手をかけた。
「まあね。朱美の乱れた顔が見たくてさ……頑張ったんだ。案外、スイッチ固いから」
「悪かったわねっ!? じゃなくて! 普通よ!!」
布団をはがされた朱美は、真っ赤になって抗議した。
「こんなにいっぱい キスマーク つけてどうするのよ!」
首筋から鎖骨、胸……下腹部、太腿と無数についた赤い所有の痕〔あかし〕。服に隠れるトコロはいいとして、首筋と太腿の痕は誤魔化しようがない。
「もう、ホント、信じられない。外に出られないじゃないさ!」
この悩みは切実なんだと、主婦である朱美は強く訴える。
が。
「うん、まあ……それがひとつの 目的 だし?」
サラリ、と彼女の夫は微笑んで、そんなことを物静かに告白した。
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