( そんなこと、爽やかに訊かないでよ )
からかうように確認する菫の指へ、朱美は乱れる息の間から言葉にならない喘ぎを吐き出した。
「そ……は、あ、あ、ああ!」
下着をずらし溝をなぞったかと思うと、するりと中に入ってくる低温のそれは、彼女の官能のスポットを知り尽くしていて微妙な角度をつけて的確に刺激をくわえてくる。
難なく、高みへと攫われる身体に朱美はいつものように翻弄された。
腰が浮く。
「う、あ……菫さん……もっと」
うわ言のように口にして、先走る口を閉じた。
「もっと、なに?」
歯で胸の先をいじりながら、菫が聞きとがめた。官能に張りつめた彼女の身体は、その息がかかるだけで感じるのかビクビクと反応する。
朱美の中に入れた指を動かして、さらに答えを要求する。
「言って? 朱美」
「い、や! 嫌っ、……気づいてる、クセにっ」
走りそうになる身体を毛布を握った手で制して、朱美は抗った。唇を噛むと、潤んだ目で訴えてくる。
「気づいてるけど、聞きたいんだ。君の声で」
「 意、地悪 」
はぁ、と息をついて、朱美は菫の身体にしがみついた。
まだ、寝巻きさえも脱いでいない……乱れもしない彼に憎らしい気持ちになる。
「指一本じゃ足りないの! もっと、もっと入れて。わたしの中をいっぱいにしてっ」
「うん」
素直な了解を合図に、中途半端に脱がされていたストレッチパンツと下着を一緒に引き抜かれる。
無防備になった脚を開くと、一気に指が増えた。
「ああ!」
待ち望んでいた刺激に、朱美の身体は高みに昇り、弾けた。
息が乱れたまま小さな痙攣を起こす彼女の身体を支えて、菫は準備を終えて入り口へとあてがう。
「俺もイキたい。入れさせて?」
うんうん、と意識しているのかいないのか、朱美は頷くばかりでまだ声を上げることすらできない。
「ふぁ……」
貫く感覚に恍惚と息を吐いて、あとは互いに求め合う。
「まずは、一回目……いくよ」
「え? な……あ、も、ダメ……いくぅ! あ、ああんん!」
大きく身体をくゆらせて、ふかく繋がると朱美の締めつけに、菫は自身の欲望を薄い膜越しに彼女の中へと吐き出した。
それから、二回目はバスルームだった。
「いい?」
「ん……はぁんん!」
湯船につかってちゃぷちゃぷと水音が響いた。湯あたり寸前の朱美の意識は朦朧としていて、菫の呼びかけにも半分意識を飛ばして頷く。
本能で、彼のモノを締めつける。
「朱美、あけみ? 気持ちいい?」
だから、訊かないでよ……と思いつつ、ぐりぐりと押しつけられて、脚を全開にした朱美はうっすらと目を開けた。
暴走する身体を彼に委ねる。
抗えない、いつだって。
「きもちイイ……」
水音が激しさを増す。
それとともに、身体を走る電流も強さを増した。
バスルームに響く、やらしい声が止まらなかった。
彼が当たる。
ふかい場所。もうすぐココにやってくる……。
*** ***
三度目。
電気をつけずに押し倒された寝室のベッドで、朱美はわが身を疑った。
「ねえ、まだ……するの?」
と。
訊く間にも、せっかく着た寝巻きを器用に剥かれていく。お風呂で温められた朱美の身体はほんのりピンクに染まって、ほどよく湿り気を帯びていた。
揉みしだけば、すぐに立ち上がる胸の双丘の実を両の指に挟んで、菫はおかしそうに弄んだ。
ほどよく美味しそうな色だと思う。
「この状況で、途中でやめる理性が俺にあると思う?」
「ひぁ……だ、だって……あん、なにしたのに! ……や。わたし、もうできないっ」
くるり、と身体を回転させて丸くなり、背中で拒否を示す。
「 朱美 」
「や、菫さん。わたし、これ以上したら変になっちゃうよ」
背後から抱きすくめられ、裸の彼女の上半身を菫の手が容赦なく愛撫した。
朱美の理性をそぎ落としていく。
「いいよ、変になって……そんな朱美も俺は、好き」
ビク、と跳ねる彼女の心臓がわかる。
「 ……女の子はみんな、好きなクセに 」
天邪鬼に憎まれ口を叩いた朱美が、背中の菫をひと睨みして――上手にキスをねだった。
ファインダーの向こう側。3 <・・・ 4 ・・・> ファインダーの向こう側。5
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