ザブザブと湯船が波打って、夜空に音が溶けていく。
「はあ……ぁあ……」
半身をにごり湯の中に沈めて、背中に腕を廻して抱きしめる菫の胸板にコテリと頭をもたげると朱美はうっとりと息をついた。
外に出た肩に熱めのお湯がかけられる。
「気持ちいい……」
「お湯が? それとも、俺が?」
どっちとも取れる朱美の様子に微笑って、菫は湯の中で彼女の溝をなぞる。
お湯から出た彼女の胸のふくらみは、上気して鮮やかに色づき……彼の手にもてあそばれる。形を主張しはじめた丘の実は、天を向いて揺れた。
そこに、唇をそっとつけられて、その触れるだけの感触に逆にチリチリと尾てい骨が焦れた。
「あ」
菫の胸に手をついて、朱美は彼を見下ろすと「もっと気持ちよくしてくれたら、許しちゃう」とふかいキスで和解交渉を提案した。
*** ***
和解を 断る 理由は、どこにもなかった。
ふかいキスはそのまま、交渉成立を促して溝を探っていた彼の指先が彼女の中に音もなく入っていく。
指の腹で中を撫でられると、朱美の身体はゆっくりと仰け反った。
菫を跨いだ膝を大きく割られ、深く指を突き立てられる。
「……ぁん」
朱美の唇を離れた菫の舌が、彼女の首筋を滑って鎖骨を通る。ところどころで強いキスの痕を残して達したふくらみの丘をのぼり、実ったキレイな色の果実にほんの少し周囲を探って焦らした。
「菫さん」
大きく胸を揺らして、彼のその行為にたまらない表情を向ける。
揺れる果実の誘惑に、菫は口をつけて貪った。
吸いつき、撫で、歯でなぞってかじる。
「ひぁっ!」
バシャバシャと朱美の腰が動いて、湯船が揺れる。湯の中に隠れた指の動きも激しくなって、彼女の中をかき乱す。
「あっ、あっ」
目を閉じ、首を振る朱美は中を出入りする彼の指が執拗に彼女の敏感な場所をかすめるのが、我慢できなくて自ら彼に押しつけた。
「アッ!」
ひくん、と仰け反って湯船に落ちる。ハアハア、と息をついて「気持ちよかった?」と訊かれると、「ん……」と答えるしかなかった。
恍惚としたままの朱美を湯船に置いて、少しの間離れると戻ってきた菫は彼女を縁に掴まらせて背中から覆いかぶさった。
「菫さん……?」
「まだ、交渉は成立してないだろ? 俺が朱美を気持ちよくしないとね」
そう言って、菫は準備を終えた自身を彼女の中心にあてがった。
「や……あっ」
本能的に腰を引いた朱美を止めて、貫く。
「あっ……あっ……いい!」
ぐっぐっと指とは比べようもない深いポイントにやってくる彼の熱くたぎったそれに、朱美は身体を仰け反って快感を伝えた。
ともすれば、崩れそうになる。
もっと、もっと。
重なる二人の体を必死に支える指と貪欲に揺れる腰、絶え間ない息遣い、甘い喘ぎ。開きっぱなしの唇もトロンとした眼差しも菫をさらに高みへと誘った。
激しく揺さぶりながら、告げる。
「朱美……俺も……気持ちいいよ」
彼女の揺れる胸を両手でやんわりと揉み上げ先端を摘み、そのまま下腹部に滑らせる。
「はぁ、あん……菫さん。……そ、ああっ」
足の付け根に添え、指で裂け目を大きく開けると入ったこともないほど深く奥へ腰を突き上げた。
大きな質量が壁に達して、
「アッ――!」
途切れる声とともに、彼女の中が貫いた彼をきつく包んで絞る。襞がゾワリと蠢いた。
肌があわ立つ感覚が背中を突き抜け、灼熱の温度が一点に集中した。
片手は足の付け根に固定したまま、片方を朱美の顎に持ってきて上向かせる。
濡れた黒の瞳と色素の薄い紫がかった眼差しが重なって燃えあがった。舌を絡ませ、彼女の吐息を貪ると解き放つ。
「ッ……はっ」
湯船が大きな波を作って、岩肌を流れていく。
ドクドクと朱美の中で脈動しすべてを吐き出した菫は、荒く息をついてぐったりとなった彼女を抱きしめ、もうしばらくは中にいたいと身体を繋げあったまま湯船に身をひたした。
P-kan! 常夏 ココナッツ。4 <・・・ 5 ・・・> P-kan! 常夏 ココナッツ。6
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