「んっ……純也、先輩……ぁ、あん!」
彼の背中に爪を立て、その膝を跨いだ格好で受け入れた唯子は何度目かの絶頂に腰をふるわせた。
エッチを覚えた彼女の体は、相変わらず感じやすい。
「あ……やっ、せんぱっ……」
間髪入れずに動き出すから、たまらなくてしがみつく細い腕。
ちょうど、純也の頭を抱えるようになるその体勢に唯子自身は無自覚だ。腰の動きに同調して彼女のふっくらとした形のいい二つの乳房が彼の目の前に並んで揺れている。
純也の大きな塊を受け入れてぐちぐちと響く……彼女の中心からは蜜があふれて止まらない。
彼の太腿にまで滴って流れていく。
入り口に指を滑らせその水を汲むと、彼女の赤く熟れた胸のつぼみに塗りこめた。
純也の行動に羞恥して、唯子は上気した体をさらに熱くする。
「唯子」
「舐めちゃ、やっ……」
「美味しそうなのに?」
「ダメ」
真っ赤になって純也を見ると、揺れる先にある自分の固く起ちあがった頂がテカテカと光っているのが視界に入った。
「やぁっ……ん」
唯子と見つめ合いながら、彼女の制止は聞かずに彼がそれに吸いついた。
強く甘く舌をかすめては、歯を立てられ、ちゅちゅとわざと音を響かせる。
熟れた実を摘み取るようにナナメに吸いつく。
「唯子の味がする……たまらない……」
「はぁ……ああ……せんぱ……い……もっと」
丁寧な愛撫と、激しい下からの突き上げに自ずと唯子の腰も揺れた。ぴりぴりと予兆のような恍惚が背中に来て、すぐに記憶が弾けた。
〜 05.いてくれてありがとう 〜
「わたしが感じやすいんじゃなくて、純也先輩が上手いんだと思うの」
と。
太陽が高いうちに純也の部屋で抱き合った二人は、すでに使用した避妊具が二個目という状況だった。
が、しかし――。
この二人にとって、こういうことは あまり めずらしいことではない。
唯子の家の門限が早いこと、それに純也の家が昼の間ほとんど無人だということでデートというと、まずは彼の家に寄ることになる。
いきなり、何を言い出すのかと純也は目をパチクリと瞬いた。
「唯子、何を言ってるか 自分で わかってる?」
「そ、そりゃわたしは先輩しか知らないけど……絶対、おかしいもん」
「何が?」
「……わたし、初めてなのに」
まだ よく 意味がわからなくて、純也は首をかしげた。
「男の人に触れてこんなふうになるの……欲情、するの……もっとしたいって、一人でしちゃうのも先輩を 知って からだもん」
「……唯子、一人でしてるの?」
きゃー! と唯子は自分の失言に純也の問いで気がついた。
「やだやだ、ソレ、忘れてくださいっ!」
真っ赤な唯子は顔を手で覆って、今にもここから逃げ出しそうな勢いだった。だから、純也は逃げ出す前に彼女を捕まえる。
抱きしめられて、唯子の体はすぐに熱くなった。
「せんぱ……」
覆う彼女の手を外し、深く唇を重ねるとのしかかる。
「あのね。そういう時は ちゃんと 言って?」
まだ恥ずかしそうに背中を向けようとする唯子を純也はたしなめて、三個目の避妊具に手を伸ばした。
*** ***
三崎純也の腕に、春日唯子は腕を絡めた。
純也の家を夕暮れ前に出て、肌寒くなってきた町を駅に向かって歩く。
「だいぶ、葉っぱが落ちましたね? 純也先輩」
街路樹に目を向けた唯子が、彼に呼びかけた。
「うん」
純也は短く頷いて、彼女の手のひらを握り指を絡める。
「純也先輩」
あらたまった声に、純也が顔を向けると唯子は少し不安そうに彼を見上げていた。
「季節が変わっても……先輩が学校を卒業して美大生になっても……一緒に、歩きたいです」
俯いて、彼女は純也の腕にしがみつく。
「いい、ですか?」
「唯子」
純也は不安そうな彼女の頬を撫でて、気持ちをどう伝えようかと考えた。
でも、思いつかなくて……他愛のないことしか言えない。
「当たり前だよ、どうしてそんなこと訊くの?」
「……わかりません。ただ、時々不安になるんです……先輩はないですか? そういうこと」
なくはないが、口にはしなかった。
それは、たぶん――彼女よりも彼の方が恐れていること、だったから。
「じゃあ、約束しようか? 来年もその先もずっと、唯子と手を繋いでこの道を歩く……だから、唯子も僕の手を離さないで」
「……はい」
ギュッ、と握る。
と。
純也が繋いだ手を持ち上げて、彼女の手の甲に厳かなキスをひとつ落としたものだから、真っ赤になる。
「 ありがとう 」
小さく聞こえた感謝の言葉に、唯子は首をかしげて「先輩?」とただ微笑むばかりの彼を一生懸命見つめ返した。
>>>おわり。
clap1‐4<・・・ clap1‐5(終) ・・・> あとがき
|