涙の道をキスで辿って顎の先までくると、息を吐くその誘うような唇に吸い寄せられる。
花の蜜に群がる貪欲な蜂のようだ、と小槙の顔に理性を失いながら、輝晃は思った。
〜 blog2‐3 〜
小槙の前を開いて簡単にブラを外すと、輝晃はその裸のすべらかな胸を手で揉みながら、下の手は下着の横から彼女を攻めくちゅとした水音を響かせる。
胸の先のまわりを人差し指でなぞり、時々固くなった実を指先で撫で倒した。
「や……あっ! 輝くん……ここ誰か来る……」
「大丈夫やて、鍵は閉めてるから入って来られへんし」
「で、でも。声が……」
「ああ、それは……洩れて聞こえるかもな。防音は期待でけへんから――せやけど、もう 俺の 我慢が限界や」
そう言うと、小槙の下着を引きずりおろして指を深く差し入れた。
「う、ぁ! や……っ! ……あんっ」
「中、こんなに濡れとって……気持ちいいんやろ?」
起ちあがった胸の先を彼の手と、歯で苛められ小槙の意識は朦朧となった。
ゾクゾクと背中を走る電気に似た快感に腰が動いて、脱力しそうな脚の太腿に自分から溢れでたものがつたう。
(いや……や。輝くん)
「まだ、舐めてもへんのに……準備万端やなあ? 小槙」
「……言わんといてよ」
立ったままの小槙の前にしゃがみ、輝晃は足の途中で止まっていた下着を一番下まで下ろして、左足の方だけ引き抜いた。
下着を引っかけた右足を持ち上げて、開かせる。
「 やぁっ! 」
柱に立てかけてある巻いたマットに背中をつけ、小槙は真っ赤になって抗〔あらが〕った。
スカートの中にもぐりこんだ彼を、押し止める。
が。
「いややっ、恥ずかしい……こんなん、あっ!」
彼女の気持ちを無視して触れた、輝晃の舌は太腿をつたう彼女のモノを吸いながら上にのぼり、中心に入りこむ。
ちゅっ、という音が響いて、羞恥は頂点に達した。なのに、中の熱は勝手に上がって、とろりと溶け出す。
そうして、……次に来た刺激に脳天が白くぼやけた。
「やっ、あ、ア……わたし、も……い、いッ」
「イって。気持ちよく、な?」
「い、やぁ……アアん!」
痺れて、小槙は彼の舌を強く締めつけた。
彼の悩ましげな吐息が感じるトコロにかかって、それでまたクラクラした。
(輝くんの息、熱いねん……)
右足を担がれ、ぐっと奥に入ってきた彼に小槙はもう感じることしかできなかった。
「あっ!」
と、首を弱々しくふる。
汗ばんだ頬に黒髪がはりついて、しっとりとした肌は輝晃によく馴染んだ。
繋がって、首筋に唇を這わせた彼は小槙の締めつけに限界を感じつつ、あまりの気持ちよさに動きを止めることができない。
「小槙」
「んっ……ふ、あん!」
マットに背中を預け 人差し指を口にくわえて声を抑える様は普段の、生真面目な彼女からは想像もできないほどの、官能的な姿態。
服を着た状態で前だけをくつろがせ、立ったまま繋がった行為は、いつもよりも彼女の身体を敏感にさせているようだった。
苦しそうに息を吐いて、輝晃の顔を探す。
その仕草が可愛い。
「輝晃くん」
名前を呼ぶ。
彼女の胸の先を親指と人差し指で強く押すと、きゅっと彼を包む彼女の中が収縮した。
輝晃を求めて。
「あっ、あっ」
と、彼の動きに合わせて身体を揺らし、絶頂へと上っていく。
抱きしめ、激しい律動を刻んだ最後、最奥に到達して彼女の一番の花園にこすりつける。
「 ァはぅんん! 」
弾けて、洩れる声をキスで堰きとめ、見開く彼女の目がトロンと淡く溶けるまで見つめあう。
輝晃の背中にしがみついていた細い手が力をなくすまで、小槙を深く貫いた。
*** ***
カッカッカッ、と頬が熱くなった。
舞台がはじまるアナウンスが流れて、照明が絞られる。
小槙は思い出した道具室での情事を忘れようと首をふったが、余計に血が上った。
(あ、あかん。輝くんが、あのあと二回もするから……だから、思い出したらあかんねん!)
いやや、と思うのに、頭はすっかりリプレイを開始していて疼〔うず〕く。
どこが、ってそれは、言わぬが花とばかりに舞台の中心でストイックな演技をふりまく 八縞ヒカル を睨みつけた。
忘れられない、この想いは――。
>>>つづきます。
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