だまり + 徳。座談会 〜生徒会室の午後・男性編〜


〜NAO's blog〜
「陽だまりLover」と「背徳の姫君」シリーズの男性陣による、座談会。
帝都浦川高校の 彼ら の「彼女」に対する心の内を赤裸々に告白していただこう企画
――という名の 目標 です(遠い目)。
(※600,000HITに際しましてアンケートをとったところの
ご意見を参考に作成しております。)



それは、三年生が自由登校になった三学期のあるうららかな日の午後。
帝都浦川高校の一室、生徒会の役員がいつもなら話し合っている部屋でのことだった。
議長の椅子に陣取るのは、我らが脇役の金原柚木〔かねはら ゆづき〕。
そして、その補佐を担当するのは茶道部顧問の川村雅史〔かわむら まさふみ〕こと「まっちゃん先生」だった。

金原 「では、まずは自己紹介から」
川村 「と、飲み物を用意するので好きな飲み物も教えてください」

テーブルに着かされた一同、無言。

金原 「(コホン、と改めて)自己紹介だよ、自己紹介。ほら、純也から!」
三崎 「……なんだか、よく分からないけど三崎純也〔みさき じゅんや〕です」
金原 「………」
三崎 「なんだよ?」
金原 「んー。もう一声欲しいな……と思ってさ、学年とか」
三崎 「(ソレ、いるのか?)」
金原 「(いるだろ?)」
三崎 「……三年です」
川村 「飲み物は何がいいかな? 三崎くん」
三崎 「じゃあ、ダージリンのストレートで(困惑)」
金原 「次! 生徒会長よろしくっ」
名越 「は……はい。名越真希〔なこし まき〕、二年……飲み物は、ホットコーヒーに砂糖ナシのミルク付きでお願いします。先生(←どうやら無言の圧力があった模様)」
金原 「次! 委員長よろしくっ」
鳴海 「なんの集まりなんですか? コレは……」
金原 「そのあたりは追々、説明します。が、まずは自己紹介をお願いします」
鳴海 「(嘆息)……鳴海広之〔なるみ ひろゆき〕、二年です。飲み物ですか? 水でいいですよ」
金原 「最後に、そこの書記殿」
真鍋 「………(←明らかに迷惑顔)」
金原 「ぐぐっ! 負けない。俺は使命を果たす!!」
名越 「耀……よく分からないけど、先輩が必死にお願いしてるんだから協力してやらないと可哀想じゃないか」
真鍋 「――真鍋耀〔まなべ よう〕、二年。飲み物は、なんでもいい」

ってコトで、それぞれの前に飲み物が運ばれて、本題に。
ちなみに、なんでもいいと答えた真鍋氏の前にはホットコーヒーのブラックが乗っています。

金原 「はい。自己紹介も終わったところで今回の集まりは、「陽だまりLover」と「背徳の姫君」シリーズの男性陣による座談会ということです。みなさまに ズバリ 拒否権は認められていません」

一瞬、場はヒヤリと冷える。
けれど、柚木は気にしなかった。

三崎 「なかなか度胸があるよね、柚木って(←呆れを通り越して、尊敬している)」
金原 「ははははは、なんとでも言え。俺も男だ、与えられた仕事は命を賭けて! とりあえず、作品別に紹介していきます」
三崎 「はいはい」
金原 「俺と純也が、「陽だまりLover」だな。そして、名越真希生徒会長と真鍋耀書記殿が「背徳の姫君」。鳴海広之委員長が「背徳の姫君・番外」にそれぞれ登場しています」
川村 「私はブログでの小話で少しだけ登場した脇役(?)です。友情出演ということでよろしくお願いします」

金原 「それでは、質問。テーマはもちろん「彼女について」です!」

微妙な空気が流れるものの、とりあえず全員静観。

金原 「貴方の彼女のお名前と学年を教えてください」
三崎 「春日唯子〔かすが ゆいこ〕、学年は一年です」←仕方ないな、という表情。
名越 「汐宮清乃さん、二年です」←頭を掻きつつ、やや照れの入った笑顔。
鳴海 「山辺志穂、二年」←不承不承、諦めの入った声。
金原 「何気に、他人事みたいな顔をしている書記殿も教えてください」
真鍋 「……今はいません」←かなりの迷惑顔。
金原 「あー、なるほど。確か、少し前に鳴海委員長の彼女と付き合っていたとか?」
三崎 「柚木……それは(地雷だろ?)」
金原 「(俺が死んだら、骨は宇宙葬で頼む……という決死の目)」
真鍋 「ああ、あの子か」
鳴海 「(ため息)次、いきましょう」

金原 「次の質問、彼女と付き合ってどれくらい? また、付き合う前までの関係は?」
三崎 「付き合い始めたのは、去年の春だけど……本当は夏の終わり頃からが正式だから実質は五ヶ月目だね。正式に付き合う前までの関係は恋人同士を演じてたってところかな……唯子は僕の絵のモデルもしてます」
名越 「付き合い始めたのは、去年の九月なので四ヶ月目です。付き合う前までの関係は、俺の一方通行な片想いでしたね」
鳴海 「三ヶ月目。家が隣同士の幼馴染です」
金原 「じゃあ、彼女のいない真鍋書記殿には別の質問を」
真鍋 「………」←いらないと思ってる。
金原 「最後に彼女がいたのはいつ? 現在、好きな子はいますか?」
真鍋 「四ヶ月前、いません」
金原 「ははははは、単純明快だな」
真鍋 「何か問題でも?」

しばしの沈黙のあと。

金原 「(……まあ、いいか)じゃあ、次。彼女のことを普段なんと呼んでますか?」
三崎 「唯子、って呼んでます」
名越 「俺は、汐宮さん……ですね。名前はなかなかハードルが高いですから」
鳴海 「(そんなものかな? と疑問に思いつつ)志穂、ですね」
金原 「では、付き合う前はどのように呼んでいましたか?」
三崎 「春日さん、だったかな?」
名越 「今と変わらず、汐宮さんと呼んでました」
鳴海 「山辺、でしたね」
金原 「さて。ここで真鍋書記殿に質問です」
真鍋 「………」←絶賛、警戒中。
金原 「名越真希生徒会長の彼女を「清乃」と呼んでいるそうですが、それは何故?」
真鍋 「清乃? ああ、たまたまかな(含み笑いというか、むしろ失笑)」
金原 「正直なところ、彼女に好意を持っているということは?」
真鍋 「まさか。清乃を「真希の彼女」以外に 認識 した 覚え は、ありません」

静かに言い切る耀に真希は何かを言いたそうにしているが、黙っている。
耀は それ に気づいてるのか、いないのか、柚木の方を見ると「次の質問は?」と促した。

金原 「ようやく書記殿も乗ってきたところで、ここから親睦を深めていきたいと思います。ん? ナンですか、みなさんの その ビミョーな温度の眼差しは」
三崎 「あ、悪い。思わず」
鳴海 「ビミョーって言うか……(ものすごく分かりやすく睨んだつもり、なんだけど)」
名越 「親睦って誰と誰の、ですか? 金原先輩」
金原 「もちろん、我々の、です」
真鍋 「そうきたか」
金原 「あれ? 言ってなかったっけ。「座談会」なんだからお互い語り合わないとねえ♪ ってコトで。引き続き、みなさまに 拒否権 は認められていません」
三崎 「あー、そう」
名越 「仕方ないですよね」
鳴海 「まあ、いいですよ。もう何でも」
真鍋 「どうでもいい(低い声)」
金原 「全員の許しを得た(←どこまでも前向きに判断)ところで、みなさんのそれぞれに関する認識などを中心に語っていただこうかと思います」

金原 「ちなみに――俺は純也とは友人なので唯子ちゃんとも 仲良し です」

三崎 「仲良し、って。いや、いいけど(なんでもない、と頭を振る)」
金原 「唯子ちゃんは可愛いよね。姿もだけど、性格もさ……純也のは偽物だからなーあーもう、騙されてると思うとかわいそーでかわいそーで」
三崎 「うるさいよ、おまえ」
金原 「いいやねーいいやねーお盛んだぁねー」
鳴海 「それは、妬み、ですか? 金原先輩」

ぐっ、と言葉に詰まる一人身の柚木。るーるーるー、と遠くを見る。
気を取り直して、次の標的へ。

金原 「名越生徒会長と真鍋書記殿は生徒集会などで超有名な人たちですから知らないワケがありません。生徒会長の彼女も美人さんで校内での知名度はかなり高いですね」

三崎 「確かに、汐宮さんは綺麗だよね」
名越 「ありがとうございます、って俺が言うのも変な話ですけど。本当に汐宮さんって綺麗なんですよ、俺なんて今でも魅入ってますから」
鳴海 「そのせいでトラブルも多いですよね、彼女……。あ、始業式のことを言っているワケじゃありませんよ」
名越 「うん、だから、気をつけてはいるんだけど」
真鍋 「真希が心配するだけ 無駄 だと思うけどな、俺は」
名越 「耀がコレだから(ため息)」
三崎 「真鍋くんはどうして、そう思うのかな?」
真鍋 「清乃はそんな タマ じゃない」

深追いすべきか悩みつつ、柚木は最後の標的へも嘴を向ける。

金原 「鳴海委員長も役員の中では目立つタイプ、噂も多少耳にしています。が、彼女のほうはあまり聞きませんね」

鳴海 「そうでしょうね、志穂は地味な子ですから」
三崎 「どんな子なの?」
鳴海 「普通の子ですよ。普通よりも暗めかな、っていうくらいの」
金原 「でも、可愛いんだよね?」
鳴海 「さあ? 一般的にはどうでしょうか」
名越 「とか、ナンとか言ってますが、鳴海委員長の 彼女 に対する 誠実さ は役員会の中でも指折りです。バレンタインも彼女以外からは全部、丁重なお断りを入れたそうですよ」
鳴海 「もちろん、俺は志穂を 可愛い と思ってますよ。当然でしょ(にっこり)」

なんか、だんだん一人身には辛い状況になってきたと柚木は気づいた。
けれど、顔には出さない。決して、出さない。試練と思ってココは耐えるのだ。

金原 「ではでは、そんな 彼女 について次の質問です」

そろそろ場にも慣れてきた一同。飲み物に手をつけたり、歓談したり、我関せず本に目を落としたりとリラックスした様子。
まっちやん先生こと川村雅史先生は壁の花よろしく、気配を断って折り目正しく立っている。

金原 「彼女とはじめてキスをした場所はどこですか?」

飲み物に手をつけていた生徒会長は吹きそうになって、真っ赤になって抗議した。
温厚な彼にしては、めずらしい。
名越 「な、なんてことを訊くんですか!」
金原 「えー? 大人しい方でしょう? エッチはどこかとか訊いてないし、ねえ?」
名越 「え、えっち……」
チカチカと目の前を星が散ったかのような初々しい反応。
真っ赤になった彼を尻目に、ほかの彼たちは落ち着いている。というか、呆れているというのが正解か。
三崎 「また、下世話なことを――それって唇以外はノーカウントってコトでいいのか?」
金原 「あー、そうだな。ややこしいし、唇だけでいいや」
三崎 「じゃあ、公園」
鳴海 「俺は、教室」
名越 「キ、キスなんて! まだ、してませんよっ!!」
うろたえる真希に、柚木が「またまた〜」と笑って受け流す。
金原 「そんな冗談、受けませんよ。生徒会長」
名越 「冗談じゃありませんから!」
金原 「え?」
名越 「 本気です 」

金原 「(考え中……考え中……)そ、そういうこともあるかなっ。うん! ――じゃあ、次。そのキスは付き合った後? それとも前?」

三崎 「正式に付き合うという意味では前、かな」
鳴海 「俺も、付き合う前でしたね」
金原 「あ、名越生徒会長は答えなくていいですよ(愛想笑い)。代わりに真鍋書記殿は付き合ってどれくらいでキスしてますか?」
真鍋 「適当」
金原 「だと思った」
真鍋 「………(←だったら訊くな、という低温の眼差し)」

金原 「告白はどちらから? また、その時のお気持ちも暴露してください」

三崎 「唯子から、かな(苦笑)。告白された時の気持ち? 信じられなかった。情けない話、僕には彼女に好かれる自信なんて 少しも ありませんでしたから」
金原 「確かに、あの頃のおまえって自暴自棄って言うか……唯子ちゃんがいなかったら、女の子をとっかえひっかえだったしな」
三崎 「一応、努力はしてたんだけどね(自嘲の微笑み)」
金原 「結果、好きになれなきゃすぐに別れるの繰り返し、って女の敵じゃねーか。俺からすれば、似非天使な その 顔で騙してるとしか思えない」
三崎 「ははっ、そうかもね」
金原 「………(←友人ながら凶悪、と思っている)」
名越 「汐宮さんには、俺から告白しました。当然というか……彼女は俺のことなんて、好きでもなんでもなかったみたいです。
 一年の頃からずーっと見てて、生徒会室に用があって来た彼女と会った時に舞い上がった俺が……つい、口からポロッと出て告白してしまったんですけど」
金原 「でも、今は恋人同士なわけだし……両思いなんだよね?」
名越 「強いて言うなら、粘り勝ちですね。両思い? そう、ですね(チラリ、と耀を見て意味深に笑う)」
鳴海 「付き合おう、と言ったのは俺ですが、最初に気持ちを打ち明けたのは志穂の方でした。打ち明けられた時、正直戸惑いましたね。理由? ああ、俺たちには イロイロ 尋常ならざる状況があったので(にっこり)――後日、精算の上、付き合うことになりました」

広之の委員長スマイルに、大きく端折られた 何か を追及をできない柚木。
最後の質問へ――。
金原 「そろそろ質問も終盤! ってコトで、彼女は処女ですか?」
三崎 「なんで、そんなことを……」
名越 「そうですよ、答える必要ないでしょう?」
鳴海 「ノーコメント」

金原 「では、真鍋書記殿……処女を相手にしたことはありますか?」

真鍋 「ないこともない。が……(渋面)」
金原 「何か、嫌なことでも?」
真鍋 「別に」


金原 「それでは、最後の質問です」


一様に、周囲の空気が和む気配。

金原 「少しだけ二人の未来の話をしてください」

三崎 「そうだな……僕は美大に進んで、唯子とは今みたいに頻繁には会えなくなってイロイロあるかもしれません。でも、ずっと彼女の手を離したくないと願っています」
金原 「唯子ちゃんがガッチリ握ってそうだから、大丈夫だろ? おまえらは」
三崎 「うん。まあ、僕もそう思う」←素で惚気〔のろけ〕てます。
名越 「少しだけ未来の話……なんかしたら、本当になりそうで怖い。汐宮さんと耀が付き合ってたりして」
真鍋 「怖いこと言うな(←本気で嫌そう)」
金原 「つーか、そういう関係?」
名越 「俺の勘では、汐宮さんは耀を好きなんだと思う。耀もたぶん、嫌ってないよな?」
真鍋 「……真希の彼女としては、嫌いじゃないってだけだ。他意はない」
鳴海 「今年は受験生なので、みっちり勉強をみてやるつもりです。夏には少し息抜きをして、来年は出来たら同じ大学に行けたらいいですね」
金原 「同じ大学が無理そうだったら?」
鳴海 「近くの大学。いいんですよ、一緒に 一人暮らしができる 程度に家から遠くて近ければ」
金原 「なんていうか、用意周到な匂いがプンプンしますが?」
鳴海 「そうかな? まあ、志穂にはこれくらいがちょうどいいんですけどね」


金原 「あ、ありがとうございました(とりあえず笑っておこう、わはは!)っ。これにて、おひらきとさせていただきます。みなさまの彼女は奥の部屋にて保護しております。お付き合い、本当にありがとうございました!」


*** ***


柚木は、校庭を抜け、三組(?)のカップルが帰っていくのを生徒会室の窓から見送った。
ひとしきり詰られた司会者は、ハァと息をつく。
金原 「やれやれ、終わった終わった」
川村 「ご苦労様」
お茶をパイプテーブルに置く「まっちゃん先生」こと川村雅史に、柚木は椅子を引いて座ると「ありがとうございます」と――温められた湯呑みに疲弊した口をつけた。



最後までお付き合い、ありがとうございました。
ブログで一度、載せている座談会です。
加筆修正は多少していますが、どこを加筆修正したのか
コチラ、まったく覚えていません。
「背徳・番外」の質問とほぼ同じくらい間が空いているので(^^ゞ。
きっと、大した加筆修正はしていないので目新しさはないでしょうねえ。
って、コトで「座談会」の後日談を ご用意 しています。
SSですが、少しでも楽しんでいただけますように。
2008.10.12.「Ura★Kiro」管理人、なお。


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