焼けと机と室と。 淡い恋、苦い味2


〜NAO's blog〜
 ■小槙さんと輝晃くんの、過去話+中学二年・春■
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 ふたたび、体育の時間。

 またしても、小槙は絶句した。

「 うち、輝晃くんにフラれてしもうてん 」



〜 淡い恋、苦い味2 〜


 それはそれで、ショックだった。
 小槙とおんなじだと思っていたカナコが恋を知って、しかも少しの間に失恋まで経験したとなれば驚かずにはいられない。
「え? なんで……だって、仲良くしてたやん?」
「うーん。そうやねんけど……輝晃くん、うちとは友達やねんて」
「――カナコちゃん」
 小槙は我がことのように胸を締めつけられた。

 ホラ、やっぱり彼は無自覚なのだ。
 女の子を簡単に、誤解させる。もちろん、彼が悪いワケではなかったけれど――。

「うちらしくないわ。こんなん……そう思わん?」
 あははーと元気よく笑おうとはするものの、カナコは顔を歪めて唇を噛む。
「カナコちゃん、元気だしてよ。わたしはカナコちゃんのこと好きやから! 馳くんの見る目がないねん」
「ぷっ。小槙ちゃんってホンマ可愛いなあ……」
「え? なにやて」
「んーん。なんでもないよ? 輝晃くんは見る目がないワケやない、という話」
 でも、ごめん……とカナコは笑って意地悪く言った。

「コレは、うちの 嫌がらせ やから言わんとく」


*** ***


『あの時は言われへんかってんけど、輝晃くん、小槙ちゃんのこと好きやってん』

 小槙の携帯に夜遅くかかってきた声の主は悪びれもせずに言って、謝った。
『ごめんな、小槙ちゃん。せやから、今度の同窓会……小槙ちゃんが来てくれたら彼も釣れると思うねん』
 協力してや〜とカナコは言って、たぶん電話の向こうでは拝んでいるだろうと思わせた。
「………」
『あ。黙ってたの怒ってるん? でも、うちかてまさか高校でも何もないやなんて思わへんし……二人がくっつくのは時間の問題やと思ってた』
「……なんでやねん」
『だって、輝晃くん小槙ちゃんにベタ惚れやったから、すぐ伝わると思ったんやもん。小槙ちゃんが こんなに 鈍いなんて思わんかったし』
「失礼な」
 憮然と小槙は呟いて、カナコに異議を申し立てようとしたができなかった。

『だからーお願い。会場大阪やけど参加してな?』
「やっ!」
『そう、言わんと。小槙ちゃんかて彼と会いたいやろ?』
「あっ!」
『いやや、なに色っぽい声出してるん。なあ、聞いてる?』
「……聞いてる。ゃ……ごめん、いまちょっと……取り込んでて」
『ふーん。まさか、彼氏でもおるん?』
「ちゃう。……ゴキブリや――ッ」

 小槙は目が眩むような刺激を受けて、息を呑んだ。
 キッ、と彼女の足を割ってとんでもないところに顔を埋めた彼を睨むと、目が合う。
(もう、もう……いやや。恥ずかしい)
 洩れそうになる声を我慢して、小槙は電話口のカナコに震える声で言った。
「ごめん、また連絡するから。……カナコちゃん」

『 ゴキブリかあ、大変やねえ。わかった、待ってるからいい返事お願いやで 』

「うん。調整するから――ごめんね」
 通話を切ると、小槙は携帯をベッドの下に落として輝晃に文句を言った。
「輝くん、やめてよ。恥ずかしいやん」
 くすくすと笑う彼の吐息が濡れそぼった中心の起ちあがった芽にかかって息があがる。
「小槙のココが誘っとるから、悪い――電話、なんやて?」
 小槙の両脚を肩にかけて、輝晃は持ち上げた。腰が浮く。
 彼女のなだらかな裸の胸のふくらみに指を滑らせて、見下ろした。
「同窓会やて。中学校の……カナコちゃん。覚えとる?」
「ああ。小槙の親友やった?」
「うん。アッ! や……輝くん」
 小槙は仰け反って彼を呼ぶと、突き上げてくる彼に腕を絡めた。
「嘘つき、いややないやろ? 気持ちいい?」
「あ、ア……やらしいこと、言わんといて……輝くん」
 頬を染めて、小槙は恥らった。
 それでも、彼女の双丘の先にある実は張りつめて十分に艶かしく、彼の指先の刺激に敏感に反応した。
「で? 行くんか……小槙」
「あ。あん! いく――って、なに言わすねん!」
 輝晃の胸板と小槙の胸のふくらみが重なって、対座する。
 輝晃はくっくっくっと笑いを噛み殺して、言った。
「もっと開いて、脚……いきたいだろ?」
「もう、もう! なんでそないな恥ずかしいこと平気なん?」
「だって、小槙……ココ、物足りんって言うてるし」
 繋がったままの入り口をいじられて、小槙は真っ赤になった。
「深いトコロに導かな、ホラ、小槙」
 誘うような輝晃の眼差しに、小槙はしぶしぶ自ら脚を開いて彼を深く自身に導いた。
 ぴったりと満たされる。
 ゆるゆると輝晃が腰を動かすと、自然に小槙も応じた。
 深いところへ、来てほしい――。

「 動いて 」

 誘われるままに、動く。

「う……ふ……アッ、はぁん」

「気持ちいい?」
 小槙の胸に唇を添えていた彼が顔を上げ、首筋を滑ると笑って唇を合わせてくる。
「ん……輝晃くん」

「小槙が行くんやったら、俺も行く」

「――だから。……なんで、いまその話やねん……」
 恍惚と、小槙はツッコんだ。


 >>>おわり。


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