セーラーの上と一緒に、下に着ていたキャミソールもたくしあげられて胸を直接、触られた。
スカートの中に手を入れられて、太腿をなぞりあげられ……脚の付け根に彼の指が分け入る感触を覚えてる。
渡された携帯の番号を書いた紙切れと金ボタンを握って、仁道小槙〔にどう こまき〕は今日あったとんでもない出来事を思い出して……何度となく忘れようとした。
けれど、触れられた身体がそれを許さない。
直に彼の手のひらを感じた胸は張りつめて、ドキドキする。
舌が這った熱は、冷めることなく今も小槙の肌を辿っていた。
身体の中が溶けるように熱くなる。
あのまま……。
もし、彼を探す女生徒が現れずにいたら、どうなっていたのだろう。
『仁道……俺――』
って、何を言うつもりだったの?
もらった紙にある番号にかけたら、答えてくれるんだろうか。
「 馳くん 」
別世界の彼に焦がれることなんて、考えたこともなかった。
彼は希薄な間柄の幼馴染で、時々挨拶をする程度……顔を合わせたら笑ってくれるから嬉しかった。
こんな面白みのない真面目しかとりえのない自分でも、分け隔てなく接してくれる彼に憧れた。
夕焼けの中、見つめ合った彼をやっぱりカッコいいと思った。
「どうしてなん? なんで、こんな……」
身体が啼く、という知識がなかった小槙は自らの身体の異変に戸惑って震えた。
手を握り締めると、その中で紙がくしゃりとなって金ボタンがやさしく鳴いた。
馳輝晃〔はせ てるあき〕の 答え を聞くのが怖くて、小槙はその番号を封印した。
聞かなければ、夢見ることができる。
だから――。
どうしてあんなことをしたのか、なんて……彼に訊きたくて、聞きたくないことだったの。
〜 あの日の夜 〜
女生徒が来なければ、きっと俺は仁道小槙を抱いていただろう。
最初の悲鳴は唇で塞いで、教室の床に押し倒したあとは一気に事態〔コト〕を進めた。
セーラーの上と一緒にキャミソールをたくし上げ、ブラの下に手を入れて押し上げる。
戸惑う小槙は、抵抗らしい抵抗もできないまま膝を掴まれると、簡単に輝晃を間に迎え入れた。
「ん……んん!」
固く閉じていた唇を懐柔して、息をするために緩んだところに舌をもぐりこませると、彼女の目が驚いたように見開かれた。
たぶん、触れるだけのキスさえ彼女の記憶の中ではハジメテだったにちがいない。
震える手が輝晃の胸を力なく押して、キュッと彼の袖を握った。
あがる息。
潤んだ、責めるような目を上げる彼女をジッと見つめ返すと、抵抗する力を萎えさせて視線を伏せる。
輝晃が本気ではないと、小槙は信じているのかもしれなかった。
それくらい、彼女は無垢で善良なのだ。
(せやけど、仁道……止められん……俺には――)
上下する裸の胸のふくらみに唇を落として、熱を帯びてきた丘の上の果実に向かって登り、口にふくんだ。
「……ッ!」
びくり、と袖を掴む小槙の手にふたたび力が入って、震えた。
ガタッ、と足に机があたって派手な音を立てる。
彼女のスカートの中に入れた手は、彼女の下着の間から湿り気を帯びる前のオアシスに触れた。溝にそって指を滑らせ差し入れると、「いっ」と小槙が身じろいだ。
一度、上体を上げる。
奥の方に泉は存在するものの、これは――少し準備をしないと痛いだろう。
『は、せくん?』
と。
輝晃を睨み上げた小槙は、正真正銘 ハジメテ だった。
もし、あのまま自分を探す女生徒が現れなければ、小槙の泉を開発して欲望のままに差し入れていた―― 確信 がある。
彼女からの連絡がないまま、あの時のことばかり思い出す。
制服からのぞく新雪のように汚れのない清い肌、露な胸のふくらみと少女の恥じらい、奥に秘められた泉の熱い感触、そして見たことのないような色を帯びた女の表情。
袖をつかんだ手の力の加減まで輝晃を欲情させた。
いま、彼女に会ったら 抱く だろう。
たとえ、彼女が抵抗しても無理矢理に……めちゃくちゃに傷つけて。
きっと。
いまは時間が 必要 だと、思った。
頭を冷やす時間、苦しみと寂しさ、焦燥に耐える時間、もう少し自分が大人に成長できるまで――。
それまで、我慢しようと決めた。
*** ***
輝晃のマンションのリビング、そのソファに追いこまれた小槙は彼と見つめ合って(夢の続きや――)と思い、彼女と見つめあった輝晃は(さすがにこんなに我慢するつもりはなかったんやけど)と苦笑いした。
そこから、早急に事態〔コト〕が進んで輝晃の手際のよさに小槙が悲鳴を上げるまで、残り時間はあとわずか。
>>>夕焼けと机と教室と。本編。blpg1‐3へつづきます。
あの日の夜 ・・・> blog1‐3
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