それは、あおい蒼い森の中だった。
すぐそばにはゆるやかな小川が流れて、魚がぱしゃんと跳ねる――のどかな「 世界 」。
〜 御伽の森から愛をこめて 〜
「 あっ! 」
とてもおだやかな昼下がりだ。おばあさんに母からのワインとお菓子を持ってやってきた彼女は、危うくおばあさんに化けたオオカミに食べられるところだった。
彼の指が薄い下着の上から彼女の敏感な割れ目をなぞる。
「赤ずきん」
と、彼は呼んだ。
その名の通り真っ赤な頭巾と同色の小さなマント、まだオシャレを知らない素朴な衣服を身に着けた少女は息を苦しげに吐いて、恥ずかしそうに首を横に振った。
「猟師さん! やっ」
「赤ずきん、やらしい下着をしているね。外はこんなに素朴なのに……中はもうこんなになって」
そう言って、こんな行為などしそうにない涼やかな表情で猟師は赤ずきんの下着を取り払う。両側を紐で留めるだけの確かに彼女の外側からは不似合いな大人びた下着だった。
そして。
くちゅり。
と、すでにドロドロになった彼女の中は彼の指を簡単に受け入れる。
「あ……」
はぁ、とため息に似た息を口から吐いて、赤ずきんはうっとりと猟師を見上げた。
「いいだろう? 赤ずきん……オオカミ〔彼〕から助けたお礼は 君 の体で」
首筋にキスをされて、動脈がドクンと強く脈打つ。
赤ずきんの体は熱く火照った。
「そ、そんなぁ……あんっ、やぁ」
ぐちゅぐちゅと何本かに増やされた指が敏感なところをかすめ、イイところを突いてくるから少女の声は言葉をなさずに、囚われる。
「あっ、ああっ……りょうし、さん!」
小さなマントから覗くまあるい胸の片方が揺れて、色づく先が彼の口に含まれると喜びに歓喜の声を上げる。
吸われ、捏ねられ、甘く噛まれてあっという間に固く実る。
ジリジリと痛いほど。
彼の唇に含まれていない片方が、疼いて我慢ができない。
赤ずきんは自分の手で、自らの胸を慰める。
マントの下でやらしく指を蠢かした。
「あ……はぁ、あん」
「よくなってきた? 赤ずきん、エッチだね。もう、そんなに欲しいの?」
「ぅん……ほし?」
小川のほとりの木の幹に押しつけられ、片足を大きく持ち上げられた彼女には何のことだか解からなかった。
ただ、呆然と猟師の肩に自分の足が掛かっているのを見つめる。
腰が勝手に動いて、欲しがっている。
(……な、にを?)
朦朧となった頭で答えを探した。
猟師の指の動きが一際激しくなって、昂ぶった体が導いて首を振る。
「や、やだっ……!」
「まずは指で、イカせてあげる」
にこり、と優しい獰猛な笑顔を向けて、彼は嫌がる彼女を責めあげた。
「――猟師さん、そんなの入んないよぉ」
「ばぁか、やってみなくちゃ判らないだろ……ホラ、ズブズブと入ってる。わかるだろ? 俺の……気持ちいいって締めつけてる」
「あっ、あっ、また! またいく、いっちゃうよぉ」
猟師は赤ずきんの中に自身を埋めて、恍惚と囁いた。
彼女は泣きながら必死に耐えようとするけれど、限界がすぐそこに迫っていた。
しかし。
彼もそう余裕があるワケではない。(俺もヤバイ……)と中の気持ちよさに腰を打ちつけ、気を失う寸前の赤ずきんに欲望を吐きだした。
*** ***
山辺志穂〔やまべ しほ〕はハッと目を開けて、窓を見る。
と、そこにはカーテンが翻っていて、うっすらと白ける夜明けの空が映っていた。
衣服(……というか、パジャマ)は着ているけれど、ボタンがいくつか外れていたり……下の下着には行為のあとが残っていた。
「や、やだ!」
真っ赤になって志穂は、慌てて衣服を整え、少し開いた窓を閉めた。隣の家の鳴海広之〔なるみ ひろゆき〕の部屋は、シンと静まり返っている。
昨夜のちょっと(というか、かなり?)変態チックな交わり方に、どう彼と顔を合わせればいいのかわからない。
『志穂って、こういう 妄想 好きだよな』
と、ぼんやりとした意識の中で彼の(笑いを含んだ)声を聞いたような気がした。
(好き、じゃないもん……)
否定しながら、本当には 違う と言い切れない。
「ちょっと……気持ちよかった だけ 、だもん」
だから。
それを「好き」と言う、とは 誰も 彼女に教えなかった。
>>>おわり。
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